第一話 『マリーのふるさと Bourton on the water』

マリーの生まれた村は、豊かな森の木立がさらさらと流れる水面に映える、それはそれは美しい村です。

マリーはいつも小さな橋の上から小川を眺め、小さい頃に亡くなった日本人である母の面影をせせらぎの光の中に探していました。

お母さんのふるさとにも、どうやら川が流れお城があり、その堀には深く水を湛えて涼しい風が街を駆け抜けるらしい、父から聞かされた母のふるさとを静かに想像する毎日でした。

マリーはよくお父さんにケーキを焼いてあげました。いつもお父さんがこういってくれるからです。
“マリー、お菓子作りが得意なお母さんに負けないくらいおいしいよ。”